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リチウムイオン二次電池
XPSによる負極表面被膜の組成分析

XPSを用いてリチウムイオン二次電池の負極表面被膜の組成分析ができます。

なぜ負極の被膜分析が必要なの?

負極上の被膜(SEI膜)は、充放電になくてはならないものですが、膜厚が厚くなると容量・出力低下を招きます。電池の劣化要因を探るうえで、どのような成分がどの程度できているかを調べることは重要です。

SEI膜は、主に電解液の還元分解によって負極上に形成される膜です。このSEI膜は、イオン伝導性を持つ一方で電子伝導性を持たないことで、Liイオンの挿入脱離を可能するとともに電解液の過剰分解を抑制します。ただし、このSEI膜にLiが固定化されるため、SEI膜の膜厚が厚くなると容量低下を起こし、また内部抵抗の上昇により出力特性も低下します(図1)。どのような成分でどれだけの被膜ができているかを調べることは、性能低下要因の解明に重要な情報となります。

XPS表面分析で何が分かるの?

表面被膜における存在元素およびその含有率、そして化学結合状態がわかります。

XPS(X線光電子分光)は表面数nm領域におけるH,He以外の元素の観測(定性分析)と含有率の算出、そして化学結合状態を推測することができます。
図2は初期品負極の放電状態と充電状態をXPSによって定性分析した結果です。両状態とも、Li,C,O,F,Pが存在していることが分かります。また、表1に示す元素含有率より、放電状態ではFが相対的に多く、充電状態ではOが相対的に多いことが分かります。さらに、図3に示す状態分析結果から、放電状態ではLiF成分が多く、充電状態では、Liアルキルカーボネート,Li2CO3,Li2O成分が多く存在していることが推測されます。

XPSはどのように測定するの?

トランスファーベッセルを用いて大気非暴露で測定を行っています。

XPSは表面敏感な手法であり、また、被膜成分等は高い活性を持つものが多く含まれます。そのため、大気に曝すと大気中の成分と反応して表面の化学結合状態が変化してしまいます。
図4は図3で示した充電状態の大気暴露前後におけるXPS分析結果です。大気暴露によって、LiOH,Li2O,Li2CO3成分が増加している様子が観測されました。これは、大気中の水や酸素、二酸化炭素と反応したためと推測されます。
大気との反応を避け、電池本来の姿を見るために、グローブボックス内でトランスファーベッセルに試料を密閉し(写真1)、大気に曝すことなく測定しています(写真2)。

XPS深さ方向分析(デプスプロファイル)で何が分かるの?

試料を削りながら(スパッタしながら)XPS測定を行うことによって、深さ方向分析を行うことができ、相対的な膜厚比較を行うことができます。

XPSは表面敏感な測定ですが、イオンスパッタリングと組み合わせることによって、深さ方向分析を行うことができます。
図5は初期品負極の放電状態と充電状態についてXPSデプスプロファイリングを行った結果です。横軸はスパッタ時間から標準物質(SiO2)を用いてスパッタ深さに換算しています。これによって、どの元素が深さ方向に対してどう変化しているか調べることができます。
例えばCが飽和するところを膜厚と定義すると、膜厚の相対比較ができます。図5より、放電状態に比べ充電状態の方が膜厚がわずかに厚くなっている様子が分かります。

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