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情報誌「MONTHLY」

分析マイスター

NISSAN ARC,LTD.
4
MONTHLY Vol.20 No.02 2011
無機元素分析 ICP-AES/ICP-MS
今回のマイスター 米田 孝治さん

今回のマイスター
櫻井 裕樹 さん

当社には、幅広い材料、さまざまなご要望に対して高いレベルで対応できる研究者と設備があります。このコーナーでは、当社の分析マイスターが分析技術を分かりやすくご紹介します。第10回は「無機元素分析(ICP-AES/ICP-MS)」です。

ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectro-metry、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析
ICP-MS:Inductively Coupled Plasma-Mass Spectro-metry、誘導結合高周波プラズマ質量分析
CHECK!

ICPによる分析の仕組み

 誘導コイルに高周波の電流を通すと誘導電場が発生し、トーチ内のアルゴンガス(Ar)が電離し、5,000〜10,000Kという高温のプラズマ状態になります。液体状の試料をネブライザー(吸入器)で霧状にしたものをプラズマイオン生成に利用しているアルゴンガスに乗せてプラズマまで運び、プラズマの熱で原子化します。
 励起状態の原子が基底状態に戻る際に、元素によって特定の波長の光が発光されます。ICP-AESは、そのスペクトルを調べることで、元素の種類を同定・定量します。
一方、ICP-MSは、イオン化された原子を質量分析計に入れて元素を同定・定量します。

測定できない元素は?

 ICPでは多くの元素を測定することができますが、周期律表上の全ての元素を測定できる訳ではありません。まず、液体にはならない希ガス元素、水素、炭素、酸素、窒素などの液体化の前処理が困難な元素は測定できません。ICPはアルゴンプラズマを利用するためアルゴンよりも励起エネルギーが高いフッ素、ルビジウムやセシウムなどの感度が極めて悪い元素、テクネチウムやプロメチウムなどの自然界にはない元素は測定ができません。また低波長域で測定する塩素、高波長域で測定するカリウムなど、装置の分光器や検出器によっても測定できない元素もあります。

プラズマが材料の
“正体”をあぶり出します

 ある材料を構成する元素がどのようなものなのかを調べる定性分析、そしてそれらの元素の濃度を調べる定量分析は材料開発を行う上で極めて重要です。
 発光分光分析用光源として開発されたICPは、その励起源が安定であり溶液分析が可能なことから現在のICP発光分光分析装置として完成し、幅広い分野で利用されています。原理としては、プラズマ中で原子化、イオン化された元素が熱エネルギーにより励起され、基底状態に戻る時に発する光のスペクトルを測定するICP-AESと、そのイオンを直接真空内に引き込み、質量分析を行うICP-MSの二つの方法があります。
 ICP-AESは測定精度が高く、共存する元素の影響を受けにくいといった特徴があります。ICP-MSはICP-AESよりも1000倍程度の測定感度を有する利点があります。これらは対象とする材料や分析の目的によって使い分けています。
 ICPはAES,MSにかかわらず、水溶液、あるいは一部の有機溶媒といった液体しか導入することができません。このため、分析の対象物が固体の場合や導入ができないような液体の場合は、酸やアルカリで分解・溶解、あるいはICPに導入することが可能な有機溶媒で多量に希釈することが必要になります。この試料の分解・溶解や希釈がICPにおける測定の精度に大きく影響します。このため、分析の対象物によって、そして目的とする元素によって前処理方法を適切に選択することが、高精度な分析につながります。

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