正極材表面に存在する被膜の形態・組成を分析できます。
正極のSEI分析
負極にはSEIと呼ばれる安定被膜が形成されますが、正極の電極電位は電解液の電位窓の範囲内にあるため、一般的に安定な被膜は存在しません。しかし、それでも活物質表面は電解液に接しているため、充電過程のたびに電解液が少しずつ酸化され、活物質表面がダメージを受けるとともに、活物質表面に電解液の分解物が形成されていきます。量的には負極に比べて少ない場合がほとんどですが、この被膜も劣化要因の一因となる場合もあります。一方で、活物質の割れや電解液の過剰分解を抑制する効果も持つ場合もあり、その形態・組成を調べておくことは、長寿命化においても重要な情報を与えます。正極SEIは非常に薄いため、表面SEMおよびXPSが有効です。