in-situ XAFSによるLIB正極活物質の構造解析

in-situ XAFSを用いてリチウムイオン二次電池の正極活物質の構造解析ができます。

なぜ正極のin-situ XAFS分析が必要なの?

充放電に伴う遷移金属の状態変化を直接調べられるからです。

正極では、充放電に伴うリチウムイオンや電子の出入りにより、活物質内の遷移金属に状態変化が生じます。in-situ XAFS (X線吸収微細構造) 法では、電気化学測定をしながら、同時にXAFS測定を行うことができます。そのため、電気化学特性データと照らし合わせ、電位変化に伴う活物質の電子状態や結晶構造の変化を直接明らかにすることが可能です。

どうやってin-situ XAFS分析しているの?

電気化学測定を行っている電池セルに対して、放射光X線を線源として用い、X線の吸収を測定しています。

単色化した放射光X線を試料に入射し、試料を透過 (吸収された残り) したX線強度を測定します。この入射強度を各エネルギーについて測定したものがXAFSスペクトルになります。XAFS測定は入射エネルギーを連続的に変えながら行うため、実験室系の装置では分析を行うことができず、放射光施設での測定が必須です。
日産アークでは、この強力な放射光X線源の利用のため、各地に存在する放射光施設SPring-8、KEK-PF、立命館SRセンター、佐賀ビームラインを利用しています。

in-situ XAFSで具体的に何が分かるの?

各電位に対する特定元素の状態が分かります。

NMC正極の結晶構造を図2に示します。この特徴は、矢印示す位置の元素がランダムに存在することです。in-situ XRD法では、このランダムに位置する元素の取り扱いが困難であるため、各元素に注目したin-situ XAFS法が適しております。図3に各元素のK端XAFS測定結果を示します。Mn-KおよびCo-K吸収端では、電位変化に伴いピークトップ付近のシフトのみが観測されます。一方、Ni K吸収端では、ピーク全体が高エネルギー側へとシフトしています。この結果は、各元素の電位に対する役割が異なることを示唆するものです。日産アークでは、XAFSスペクトル解析に第一原理計算を用いています。

日産アークのXAFS分析の強みは?

硬X線から軟X線までの幅広いX線が利用可能です。

日産アークでは、遷移金属のバルク電子状態を調べるための硬X線XAFSによるK吸収端測定のほか、軟X線吸収分光による軽元素のK吸収端測定や遷移金属L吸収端も行っております。目的に応じて幅広いエネルギー領域をカバーするために、各地に存在するSPring-8、KEK-PF、立命館SRセンター、佐賀ビームラインなどの放射光施設を利用しています。

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