AFM-IRでの積層膜界面の官能基分析と成分同定

高い分解能をもつAFM-IRは、積層膜界面における化学状態分析にも威力を発揮します。
AFM-IRは積層膜界面近傍の相溶性や層界面の密着性に影響する官能基といった分子レベルの化学情報を得ることができます。積層膜界面に対して、AFM-IRの連続スペクトル測定の適用例をご紹介します。

連続スペクトル測定の有効性

光学顕微鏡や電子顕微鏡による断面観察で積層膜の界面がはっきりと分かれていても、その成分は他層に含浸していることがあります。積層膜の界面を連続的にスペクトル測定することで、各層の成分分布を可視化できます。さらに、積層膜に限らずポリマーアロイやポリマーブレンドのように微細な分散構造をもつ界面についても適用することができます。

ラミネートフィルムのバインダー層測定

包装容器や薄型デバイス製品などに使用されるラミネートフィルムにおいて、積層膜のバインダー接着層の厚さは1μm前後です。そのため、通常のFT-IRの空間分解能では、バインダー層のみを測定することはできません。AFM-IRの連続スペクトル測定を市販のラミネートフィルムへ適用しました。その結果、ポリエチレンテレフタレート (PET) の層の間に挟まれた、厚さが約400nmのバインダー層 (B) のIRスペクトルが得られました。

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