走査型透過X線顕微鏡 (STXM) による毛髪内部の状態分析

毛髪内部におけるミクロ構造の化学状態評価ができます

毛髪ダメージの影響を化学状態で評価

毛髪ダメージを補修する製品開発においては、ダメージや補修メカニズムを知るために、毛髪成分のみならず構造や状態変化に関する情報が不可欠です。
走査型透過X線顕微鏡 (STXM) は、数十nm程度の高い空間分解能で、特定元素の化学状態を解析できる手法であり、電子顕微鏡観察で懸念される電子線によるダメージの抑制が期待できます。
本手法を用いてブリーチ処理による毛髪ダメージの様子を評価しました。
走査型透過X線顕微鏡 (STXM) による毛髪の観察

STXMによるブリーチ処理された毛髪の状態分析

STXMを用いて、ブリーチ処理が施された1本の毛髪の根元部および毛先部から、薄片状の断面サンプルを採取し分析を行いました。
STXMによる根元部の測定では、明るい箇所 (硫黄の濃度が高い) が、キューティクルやコルテックス内部の粒状構造であることがわかりました。粒状位置のスペクトルからは、C–S結合やカルボキシル基 (COOH) に由来するピークが確認され、フェオメラニンが含まれていると考えられます。
一方、毛先部では根元部で見られた構造は確認できず、スペクトルからはシステイン酸の生成が認められました。また、内側ではわずかにジスルフィド結合 (S-S) が残っており、外側ほどダメージの大きい様子が認められました。
フェオメラニンの分子式
STXMによるブリーチ処理された毛髪の状態分析
各種分光測定で評価が困難な黒髪でも特定元素に着目した化学状態を調べることが可能です。
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