ナトリウムイオン電池 正極活物質のX線吸収分光法による局所構造解析

劣化による正極活物質の局所構造変化を定量的に解析できます

NIB正極活物質の劣化とその構造解析

リチウムイオン電池と同様に、ナトリウムイオン電池 (NIB) においても、充放電を繰り返すことによって正極活物質の結晶構造が変化し、容量低下や抵抗増大が生じます。X線吸収分光法 (XAFS) を用いた構造解析によって、遷移金属のκ吸収端におけるエネルギーシフトから価数、Pre-edge形状から配位環境を評価でき、局所的な構造を知ることができます。
ナトリウムイオン電池

XAFSによる活物質中遷移金属の局所構造変化

市販のNIBを解体し、取り出した正極 (活物質:NaFe1/3Mn1/3Ni1/3O2) についてXAFS測定を行いました。Fe-κ端において、エネルギーシフト (価数変化) は見られないが、Pre-edgeの形状変化は確認されました。第一原理計算により、八面体配位:FeO6と四面体配位:FeO4を区別することができます。Pre-edgeのピークフィッティングにより、Fe四面体配位の割合が増加しており、充放電サイクルによる正極の局所構造変化が明らかになりました。
ナトリウムイオン電池
ナトリウムイオン電池 ナトリウムイオン電池

※誤差:四面体配位に対し5%程度

初期品 100サイクル品 400サイクル品
四面体配位(%) 0 3 8
八面体配位(%) 100 97 92

正極活物質の劣化メカニズム

NIB正極のNaは八面体配位 (Naoct) であり、充放電時のNa拡散は四面体配位 (Natet) サイトを経由するとされています。充放電サイクル後、NatetにFeが入り局所的に四面体配位が形成され、Naの拡散が阻害されることが容量低下や抵抗増大の一因となります。すなわち、劣化解析には四面体配位の評価が重要となります。
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