低損傷スパッタリングを用いた高分子材料の表面深さ方向状態分析

コロネンイオンによる低損傷スパッタリング

イオンスパッタを併用したXPSデプスプロファイルは、深さ方向の組成変化を調べる手法として、膜厚や付着層の評価に有用です。

しかし、従来用いられているアルゴンイオンでは、高分子系材料に損傷を引き起こすことがありました。

コロネン (C24H12) イオンをスパッタに用いることで、損傷を起こしやすかった高分子材料においても、低損傷で深さ方向状態分析が可能になります。
コロネン

ポリ乳酸 (PLA) 試料のXPS深さ方向分析

アルゴンイオンスパッタでは、損傷によりポリ乳酸の骨格構造であるカルボキシル基 (O-C=O) とエーテル結合 (-C-O-) 由来のピーク強度が減少します。

これに対し、コロネンイオンでは、これらピークが維持されることから、損傷を抑えた分析方法であることがわかります。
コロネン XPS 深さ方向状態分析

表面が汚染されたフッ素樹脂 (PTFE) 試料の深さ方向分析

スパッタ毎の損傷により、 -(CF2)n- のピーク強度が減少するとともに、変質相である -(CH2)n- 量が増加
コロネン XPS 深さ方向状態分析
スパッタによる損傷が抑えられ、-(CF2)n- のピーク強度は維持されつつも内部に向かい表面汚染物質の主成分である -(CH2)n- 量が減少
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