拡散NMR測定によるミセル構造の水分量依存性評価

使用環境を想定したクレンジング料の構造変化を評価できます

拡散NMRによる分子ダイナミクスの評価

NMRによる自己拡散係数の測定は、試料の動的構造やその中に含まれる各成分の運動状態を知るための数少ない手法です。特にエマルションやゲルなどの不均一な系では、性質・機能の発現に大きく関与するダイナミクスを把握することが極めて重要です。日産アークでは拡散測定専用ユニットにより、10-14 m2/sオーダーの遅い拡散まで測定することができます。

エマルションにおける相構造

水/界面活性剤/油の3成分系ではその種類と配合比率などにより成分の分散状態が異なります。水分比率が高く、親水性の高い界面活性剤を含む場合は球状ミセルが油を内部に取り込み可溶化します。逆に油分が多く界面活性剤の親水性が低い場合には逆ミセルを、中間的な組成・性質では液晶構造や両連続相を形成します。この時、各成分の自己拡散係数Dは、それぞれの相構造を反映した値を示します(※自己拡散係数:濃度勾配がない状態で、物質が熱運動によってどれだけ動きやすいかを表す係数)。
エマルションにおける相構造
水/界面活性剤/油の3成分系の拡散NMR測定

市販クレンジング料の転相挙動

2種類の市販クレンジング料に水を添加し、水および油の自己拡散係数を測定することで、水分比率に対する挙動を調べました。その結果、水の添加に伴い、W/O型逆ミセル構造からO/W型ミセル構造へと転換することが両製品で確認されました。一方、構造転換が生じる水分比率は製品間で大きく異なっており、特にクレンジング料Bでは、水分比率が高い状態でも洗浄力を維持することが示されました。
クレンジング料Aの拡散NMR解析結果
クレンジング料Bの拡散NMR解析結果 各試料の外観写真
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