X線PDF (二体分布関数) 解析を用いたアモルファス薄膜の構造解析

アモルファス薄膜の特徴

アモルファス薄膜は、光学材料、太陽電池、ディスプレイなど様々な用途に用いられます。金属やセラミックスなどの結晶性材料が、単位構造が周期的に配列した構造を有するのに対し、アモルファス薄膜には周期的な構造がないという違いがあります。アモルファス薄膜では各原子が緩く結合しており、柔軟な構造変化を示しますが、その構造が材料特性に大きく影響します。
X線PDF解析

X線PDFによるアモルファス薄膜の構造解析

アモルファス薄膜は周期構造を持たないため、X線全散乱測定から二体分布関数 (Pair Distribution Function: PDF*) を求めることで構造を評価しますが、通常の透過型X線全散乱測定では薄膜の構造を評価することはできません。日産アークでは、放射光斜入射X線回折 (Grazing-Incidence X-ray Diffraction: GI-XRD) でデータを取得し、PDF解析を行なうことで、アモルファス薄膜を定性定量的に評価できます。*PDF (Pair Distribution Function) : 距離がrの原子対の頻度を表す。
X線PDF解析
X線PDF解析 X線PDF解析
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X線PDFによるアモルファスシリカの解析事例

製法の異なるアモルファスシリカについてX線PDF解析した結果、スパッタ膜と熱酸化膜では成分が異なり、熱酸化膜ではSiクラスターが含まれていることが確認できました。また、これらのデータをSiO2、Siクラスターでフィッティングすることで相分率を定量的に評価できます。
X線PDF解析
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パラメータ スパッタ膜 熱酸化膜
SiO2
相分率(mol%) 100 95
Siクラスター
相分率(mol%) 0 5
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