燃料電池 電解質膜の熱劣化評価

実環境を模擬した条件で電解質膜の劣化挙動を追跡します

電解質膜の特性評価における環境制御IR分析の役割

固体高分子形燃料電池 (PEFC) において、水分はプロトン伝導に欠かせませんが、過剰または不足すると電解質膜の劣化や性能低下を招きます。環境制御赤外分光 (IR) 分析を使うことにより、実環境を模擬した条件下で、電解質膜内の水分やスルホン酸基 (-SO3H) の変化、主鎖・側鎖の分解といった構造変化を捉えることができます。
環境制御FT-IR

加熱による電解質膜の構造変化

右図は、フッ素系電解質 (NafionTM) 膜を窒素雰囲気中で30〜170℃に加熱した際の赤外吸収スペクトルです。70ºCを超えると、水分 (約1700cm-1) が蒸発し、イオン性スルホン基 (約1130cm-1) が消失します。代わりに、変性したスルホン酸基と考えられる吸収 (約1410cm-1や約800cm-1) が現れます。これらのピークを追うことで、膜の耐久性や温度による劣化を評価できます。 (*NafionTM:ケマーズ社商標)
加熱による赤外吸収スペクトルの変化

水分によるスルホン酸基の構造変化抑制

下図は、フッ素系電解質膜を乾燥空気と加湿空気の雰囲気下で加熱した際のスルホン酸基の変化を比較した結果です。この結果から、乾燥空気中と加湿空気中では、スルホン酸基の構造変化に大きな違いがあることがわかります。乾燥空気中では、加熱前に存在していたイオン性スルホン酸基が急激に減少し、100℃を超えるとピークがほぼ消失します。一方、スルホン酸変性成分は加熱に伴い増加します。加湿空気中では、これらの変化が抑えられ、スルホン酸基の構造が安定していると考えられます。
雰囲気と温度によるスルホン基の変化
掲載資料をダウンロードできます。

PDF形式
左のアイコンをクリックすると、別ウインドウで開きます。

資料のダウンロードにはお客様情報の入力が必要となります。

×

分析についてのご相談などお気軽にお問い合わせください。