特殊前処理を用いたSEMによるリチウムイオン電池PAAバインダーの分布観察

日産アーク独自の特殊前処理がPAAバインダーの分布観察に有効です

電極におけるバインダー分布の重要性

リチウムイオン電池 (LIB) において、活物質や導電助剤などの結着に用いられるバインダーの偏在は、部材間や集電箔との密着性低下、電気抵抗の増大などを招く可能性があります。
これまでは、電子染色法による重金属の付与やC, H, O以外の特定元素の面分析によりバインダーを可視化していました。しかし、近年主流となってきたSi系負極に多く用いられるポリアクリル酸 (PAA) バインダーは、電子染色法の適用が困難かつ特定元素を持たず、可視化が困難でした。日産アークでは、特殊な前処理を施すことによりPAAバインダーの可視化を実現しました。
LIB負極の断面概略図

SEM-EPMAによるSiO/グラファイト負極のPAA可視化

特殊前処理を行うことによりPAAバインダーが明瞭に可視化されました。PAAバインダーは主に導電助剤とともに分布している様子が観察されました。
ポリアクリル酸塩

SiO/グラファイト負極
グラファイト:SiO:アセチレンブラック:PAA=89:5:3:3 (wt.%)

未処理品特殊前処理品PAAバインダー分布
低倍率像
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