クライオ電子顕微鏡による口紅のカードハウス構造観察

クライオ電顕技術によりカードハウス構造を可視化できます

化粧品製剤における可視化の重要性

口紅にはオイルやワックスに加え、色材などの無機微粒子が含まれており、トランプカードを立てて積み上げたような『カードハウス構造』を形成しています。唇に塗布すると、体温でワックスが崩れながら伸び、唇表面に被膜を形成します。含有成分の組成や分散状態により、塗り心地や色持ちが変わるため、製品開発にあたりこれらの組成や分散性を把握することが重要です。
カードハウス構造

クライオSEMによるカードハウス構造の可視化

クライオSEMを用いて、市販の口紅2種類の分散構造を可視化しました。
市販品①:柔らかめのテクスチャーでツヤのあるタイプ
市販品②:固めのテクスチャーで①に比べマットな仕上がり
観察の結果、市販品①は②に比べてカードハウス構造内のオイル割合が多く、一方、市販品②はワックスが緻密でオイル分が少ないことがわかりました。いずれもテクスチャーや仕上がりを反映した分散構造を示しています。
クライオSEMによる市販の口紅の分散構造の可視化

クライオTEM-EDXによる成分分析

市販品①について、クライオTEMでさらに詳細な形態を観察したところ、無機微粒子には形状の異なる2種類が含まれることがわかりました。また、EDXマッピングの結果、球状粒子は酸化チタン、針状粒子は酸化鉄であり、オイル分はシリコーンオイルであることが確認されました。元素分析により、各種機能を付与した材料の分散状態を把握できます。
市販品のクライオTEM-EDXマッピング
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