同位体を用いた溶媒をトレーサーとし、発生ガスや電極被膜の起源を探ります。
【目次】
1.概要
2.One-stop解析フロー
3.ガスクロマトグラフ質量分析 (GC/MS)
4.被膜分析 (固体 13C NMR)
5.最後に
1.概要
これまで多くの研究において副反応を理解するために、発生ガスや電極被膜組成などが評価されてきました。しかしながら、添加剤を含む様々な有機溶媒の反応を理解することは困難を極めます。
特定溶媒の一部を同位体元素にて置換することで、反応トレーサーとして活用することが可能です。13Cでラベル化したエチレンカーボネート (EC) を用いて、ECを起源とする発生ガス種や電極被膜について解析しました。

2.One-stop解析フロー
大気に曝すことなく、同一セルで一貫した分析を可能にしました。
正極 | NCM / PVDF |
負極 | 黒鉛 / PVDF |
電解液 | 1M LiPF6 EC (13C):DMC (1:1V/V%)+VC (~4wt%) |
セパレータ | PP |
充電 | 4.2V (CC-CV) 0.05C |
放電 | 3.0V (CC) |
レート | 0.2C |
温度 | 25℃ |
サイクル数 | 10回 |

5.最後に
同位体ラベル法を用いて、特定溶媒を起源とする発生ガスをGC/MSで、被膜全体の様子を固体NMRで非破壊にて分析することが可能となりました。
VC添加により、ECの分解を抑制するとともにECの炭酸Li化も抑制することが確認されました。さらに、ECを起源とする被膜の重合化される様子が示唆されました。
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