PFG-NMRによるセパレータ中のリチウムイオン拡散係数測定

PFG-NMR法を用いることで、セパレータ中のリチウムイオンの拡散係数を精度良く測定できます。
 
 
【目次】
 1.セパレータ中でのイオンの動きやすさを評価する
 2.PFG-NMRによるセパレータ中のリチウムイオン拡散係数測定
 3.PFG-NMR測定によるリチウムイオン拡散係数の方向依存性
 4.最後に

1.セパレータ中でのイオンの動きやすさを評価する

リチウムイオン二次電池の急速充放電時に要求される出力特性は、電池内のイオンの動きと密接に関連します。高磁場NMR装置 (600MHz) を用いた拡散NMR測定により、電解液を含浸したセパレータ中でのリチウムイオンの拡散係数を精度良く測定することができます。さらに、厚さ方向、面方向を選択的に観測できるため、セパレータの異方性の評価も可能です。

2.PFG-NMRによるセパレータ中のリチウムイオン拡散係数測定

PFG-NMR法の測定原理を下図に示します。勾配磁場を加えることで、分子の移動距離 (⇒拡散係数) を調べることができます。

パルス磁場勾配 (PFG: Pulsed Field Gradient) のかかっている方向のリチウムイオンの拡散を選択的に観測できます。新たな手法により、従来手法では区別できなかったセパレータ内外のリチウムイオンの拡散係数を分離して観測することが可能です。

3.PFG-NMR測定によるリチウムイオン拡散係数の方向依存性

セパレータ中の電解液のリチウムイオンとセパレータ外の電解液のリチウムイオンのPFG-NMRスペクトルを下図に示します。

各方向におけるリチウムイオンの拡散係数の測定結果とリチウムイオン拡散係数の方向依存性を下図に示します。今回用いたセパレータ試料には、異方性があり、面方向 (Y方向) にはリチウムイオンが比較的動きにくいことが分かりました。

4.最後に

PFG-NMR法に新規手法を組み合わせることで、セパレータ内外のリチウムイオンの拡散係数を分離し個別に観測することができます。方向に対し選択的な観測が行えることから、セパレータの異方性に関する評価が可能です。
 
 
お問い合わせ
 
 

材料分析・解析技術で、お客様と共にイノベーションを実現します

掲載資料をダウンロードできます。

PDF形式
左のアイコンをクリックすると、別ウインドウで開きます。

資料のダウンロードにはお客様情報の入力が必要となります。

×

分析についてのご相談などお気軽にお問い合わせください。