潤滑油の添加剤分析

性能に影響する添加剤の種類と変化を把握できます

潤滑油添加剤の種類と機能

潤滑油は基油 (ベースオイル) に様々な機能 (酸化安定性、摩耗防止性など) をもたせる添加剤が入っています。これら添加剤の確認には複数の分析法を組み合せて解析する必要があります。
  
  
  

添加剤の種類と分析法
添加剤の
種類
使用目的と機能 代表的な化合物 分析法
清浄剤 熱負荷等で生成する有害な堆積物を金属表面から取り除き、堆積前駆物質を化学的に中和し、エンジン内部清浄にする 有機金属化合物
・中性/塩基性金属 (Ba,Ca,Mg) スルトネート
・塩基性金属 (Ba,Ca,Mg) フェネート
・塩基性金属(Ca,Mg)サリシレート
ICP-AES
(金属分)
分散剤 低温時でのスラッジ、カーボンを油中に分散させる ・コハク酸イミド
・コハク酸エステル
・ベンジルアミン (マンニッヒ化合物)
LC-MS
GC-MS
粘度指数
向上剤
温度変化に伴う潤滑油の粘度変化を低減する ・ポリメタクリレート
・オレフィンコポリマー
・ポリイソブチレン
FT-IR
(GPC分取後)
流動点
降下剤
低温における潤滑油中のろう分の結晶化を防止し、流動点を低下させる ・ポリメタクリレート
・アルキル化芳香族化合物
・スチレンオレフィンコポリマー
LC-MS
GC-MS
極圧剤 極圧潤滑状態における焼付き、スカッフィングを防止する ・リン酸化合物 (例:ジチオリン酸亜鉛) NMR
防錆剤 金属表面に保護膜を形成し、摩擦および摩耗を減少させる ・カルボン酸
・アルコール、エステル
LC-MS
GC-MS
消泡剤 泡立ちを抑制し、生成した泡を破壊する ・ポリメチルシロキサン
・脂肪酸エステル、リン酸エステル
LC-MS
GC-MS

潤滑油添加剤の分析・解析

NMRやLC-MSなどの分析を用いることによって、添加剤の分解、成分の変性などの劣化の状況を確認・解析することもできます。

●極圧剤の分析 (31P NMR分析)
・オイル中のP化合物 (Zn DTPなど) を選択的に測定可能
・使用によりZn DTPの減少やリン酸などへの分解が確認できる

●消泡剤の分析 (LC-MS分析)
・上図⑤がシロキサン (劣化油でシロキサンは減衰)
・耐久品では新油で見られないピークを確認 (ピークA, B)

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