X線小角散乱法による材料内部のナノ / ミクロ構造解析

ナノ~ミクロンレベルで材料内部の粒子や空孔の分布を評価できます。

X線小角散乱 (SAXS) 、超小角X線散乱 (U-SAXS) 測定の特徴

SAXS、U-SAXSは、他の粒径・細孔径評価技術 (DLS、TEM、ガス吸着法) と異なり、非破壊で固体マトリックス中の粒子や閉じた空孔の大きさ評価が可能です。さらに両測定を組み合わせることにより、微粒子の凝集状態や結晶性高分子の高次構造 (ex.球晶、ラメラ) など、材料内部の構造を数nmから数μmまで階層的に途切れなく評価できます。また、様々な環境下での測定や、時間変化の追跡も可能です。

カーボンブラック (CB) 充填ゴムのSAXS、U-SAXS測定

下図はCB粒子を充填したゴムのSAXS、U-SAXSを測定した例です。測定値に理論曲線*1をフィッティングすることで、CB粒子の各階層の構造情報 (表面フラクタル次元Ds*2 、凝集体の回転半径Rg*3、凝集塊の質量フラクタル次元Dm*4を得ることができます。

*1 T. Koga et al. : Macromolecules 41, 453 (2008).
*2 表面フラクタル次元Ds:表面粗さの指標。平滑表面でDs=2、
粗くなると3に近づく。
*3 回転半径Rg:電子密度の二次モーメント。粒径2Rの球体の場合Rg=√(5⁄3) R
*4 質量フラクタル次元Dm:質量M(r)と長さrの間に次の関係を満たす。

ゴムとCB粒子を機械的に練り込んだ「混錬」ゴムと、溶剤に溶かしたゴムにCB粒子を添加して混ぜた「溶液混合」ゴムは引張り特性が異なるため、延伸固定してSAXS、U-SAXSを測定、比較してみました。
解析の結果、両者はDs、Rg、Dmのいずれも異なる値が得られ、引張り特性に影響するCB粒子の表面粗さや凝集状態の違いを定量的に評価することができました。

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