温度制御FT-IR分析 ~加熱ATRによる高分子材料の表面分析~

エバネッセント波を利用したATR (全反射) 法は、ATR結晶に試料を密着させ試料表面の官能基情報を得る手法です。測定深さは、ATR結晶の材質と入射角で変わりますが0.2~5μmの範囲です。加熱ATR法では、表面官能基の温度変化を利用して、高分子材料表面の熱履歴を調査できます。

ATR法・加熱ATR法による表面分析

ATR (全反射) 法は、ATR結晶に試料を密着させ試料表面の官能基情報を得る手法です。測定深さ (エバネッセント波の潜り込み深さ) はおおよそ0.2~5μmの範囲です。さらに加熱ATR法では、温度による表面官能基の状態変化から高分子材料表面の熱履歴を分析できます。

高分子材料表面劣化層の解析事例

試料は熱劣化した板状のPA6です。PA6の熱劣化機構は複雑ですが分子切断反応と架橋反応があります。

表面劣化層の官能基をATR法で調べました。この結果、劣化層にはC=O基が生成しており、分子切断反応が確認されました。つぎに劣化層の熱履歴による構造変化を加熱ATR法で調査しました。この解析には構造変化に敏感に応答するN-H基のピークシフトを用いました。測定の結果、劣化品ではガラス転移温度 (Tg) が40℃から64℃に上昇しており、架橋反応が確認されました。

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