ブロックPPにセルロースファイバーを使用した複合材について、電子染色を施しSEM、TEM観察をすることで、界面状態の評価を行いました。形態観察によって相溶化剤を使用したサンプルの方が密着性が高いことがわかりました。
CMF複合材の分散性・密着性を評価する重要性
CMFなど植物由来の天然繊維は、軽量かつ高強度であり、ポリマーと複合化することで環境に配慮しつつ機械特性を向上させる取り組みが行われています。しかし、一般的に天然繊維は親水性のため、疎水性ポリマーとは混ざりにくく、期待どおりの特性を得るためには、ポリマー中における繊維の分散性や密着性の向上が不可欠です。
CMF複合材におけるMAPP添加の効果
MAPP (無水マレイン酸変性ポリプロピレン) には、親水性の天然繊維と疎水性ポリマーを混ざりやすくする効果があります。
PP/EPR/CMF複合材にMAPPを混ぜた試料①と、PP/EPR/CMFのみの試料②のダンベル試験片を作製し、引張試験を行ったところ、試料①は試料②に比べ、引張強度が1.5倍向上しました。
PP/EPR/CMF複合材にMAPPを混ぜた試料①と、PP/EPR/CMFのみの試料②のダンベル試験片を作製し、引張試験を行ったところ、試料①は試料②に比べ、引張強度が1.5倍向上しました。
PP/EPR | CMF | MAPP | |
試料① | 68 | 30 | 2 |
試料② | 70 | 30 | 0 |
SEMによるCMF複合材の分散性/密着性評価

試料①では、ポリマー/CMF界面が密着しているのに対し、試料②では多くのCMF界面が剥離していました。また、試料①は試料②に比べて、CMFやEPRが分散している傾向も見られました。