セルロースマイクロファイバー(CMF) 複合材料の界面形態観察

ブロックPPにセルロースファイバーを使用した複合材について、電子染色を施しSEM、TEM観察をすることで、界面状態の評価を行いました。形態観察によって相溶化剤を使用したサンプルの方が密着性が高いことがわかりました。

CMF複合材の分散性・密着性を評価する重要性

CMFなど植物由来の天然繊維は、軽量かつ高強度であり、ポリマーと複合化することで環境に配慮しつつ機械特性を向上させる取り組みが行われています。しかし、一般的に天然繊維は親水性のため、疎水性ポリマーとは混ざりにくく、期待どおりの特性を得るためには、ポリマー中における繊維の分散性や密着性の向上が不可欠です。

CMF複合材におけるMAPP添加の効果

MAPP (無水マレイン酸変性ポリプロピレン) には、親水性の天然繊維と疎水性ポリマーを混ざりやすくする効果があります。
PP/EPR/CMF複合材にMAPPを混ぜた試料①と、PP/EPR/CMFのみの試料②のダンベル試験片を作製し、引張試験を行ったところ、試料①は試料②に比べ、引張強度が1.5倍向上しました。
表1 配合比 (wt%)
PP/EPRCMFMAPP
試料①68302
試料②70300

SEMによるCMF複合材の分散性/密着性評価

CMS複合材(PP/EPR/CMF/MAPP)のSEM観察
試料①では、ポリマー/CMF界面が密着しているのに対し、試料②では多くのCMF界面が剥離していました。また、試料①は試料②に比べて、CMFやEPRが分散している傾向も見られました。

TEMによるCMF複合材の界面層評価

CMS複合材(PP/EPR/CMF/MAPP)のTEM観察
試料①では、CMF周囲に数十~100nmの厚みを持つ界面層が認められました。この界面層は、別途行った組成分析からMAPPおよびEPRであると考えられます。一方、試料②では界面層が存在せず、一部で剥離が生じていました。
MAPPを添加することにより、EPRとともに界面層を形成し、CMFとポリマーとの密着性を向上させていると考えられます。
電子染色や断面作製などの前処理技術や電子顕微鏡観察条件を最適化することで、材料のマクロ物性に影響を与える複合材中の分散性や界面密着性を可視化することが可能です。

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