新規導入装置_傾斜型マイクロX線CT顕微鏡 (XRM)

日産アークでは、新たにSigray社製傾斜型マイクロX線CT顕微鏡 (Apex XCT 150) を導入し、24年4月よりサービス開始予定です。

本装置では、傾斜型X線光源を採用することで、大面積試料を切断加工せずに高コントラスト、高空間分解能で観察することができます。傾斜型とすることで、X線源を試料に十分近づけて撮影を行うことができ、既存のX線CT装置では観察の難しい大面積試料でもサブミクロンの空間分解能で観察することが可能です。

最大で直径300mm×厚さ 25mmまでの試料を分解することなく観察することが可能です。これにより、例えば、電極各層を分解することが難しい全固体電池の電極微細構造やクラックの観察、基板に載った半導体デバイスのボンディングやバンプの欠陥などを切断することなく、0.5μm (最小ボクセル70nm) の高い空間分解能で観察できます。

傾斜型マイクロX線CT顕微鏡装置とは

X線CT顕微鏡は、試料を回転させながら多数のX線透過像を撮影し、それらを再構成することで三次元像を得る装置です。従来からの一般的なX線CT顕微鏡は、試料の回転軸とX線の透過方向を直交させた直交型を採用しています。これに対し、日産アークが導入するマイクロX線CT顕微鏡では、試料の回転軸とX線の透過方向を傾斜させた傾斜型を採用しています。これにより、一般的なX線CT顕微鏡に比べ、大面積の試料を非破壊で観察することが可能となっています。さらに新設計の光学系を採用することで、傾斜型でありながらも同時に高い空間分解能を実現しています。

本装置の特徴

以下では、本装置の3つの特徴を説明します。

特徴1 高コントラスト、高分解能
高輝度なX線源と高効率な大型検出器に加え、独自の光学系を採用することにより最大0.5μmの空間分解能での測定が可能です。

図3は、半導体チップの半導体チップと外部取出し部までをつなぐために基板上に形成された再配線層 (RDL) を観察した事例です。既存のハイエンド装置では不明瞭だった再配線層 (RDL) 中のクラックが、本装置の高コントラスト、高分解能により明瞭に観察できています。
 
 
 

特徴2 大面積試料に対応
傾斜型とすることにより、試料サイズの大小に関わらずX線源との距離を近づけられ、既存のハイエンドX線CT装置でも不可能であった直径300mmまでの大面積試料の高分解能測定が可能です。

特徴3 観察時間
図4に試料サイズとX線CTでの観察時間の概念図を示します。既存の直交型X線CT装置では、ハイエンド機であっても一定の分解能を確保した場合、試料の平面サイズの増加に伴い観察時間が大幅に増大するという問題がありました。本装置では傾斜型を採用していることから、試料の平面サイズによらず高い分解能を維持し、短い観察時間で測定を行うことが可能です。

以下では、本装置の特徴を活かした2つの観察事例を紹介します。

全固体電池セルの高分解能観察

全固体電池のラミネート型セルをそのまま切断加工せずに観察しました。使用したサンプルは外形が50mm×50mmのラミネート型全固体電池セルです。本装置の機能を活かし、0.5μmの分解能で観察することで、幅1μm程度のクラックを検出することができました。
 
 
 

グラフィックスボードの高分解能観察事例

半導体デバイスと基板間の接合強度は、はんだ内部のボイドの存在で低下することが知られています。対角線が約300mm程度の大型基板に載ったGPU (Graphics Processing Unit) をそのまま観察し、ミクロンサイズのボイドを検出できました。
 
 
 

本装置は、2024年4月より稼働、サービス開始を予定しています。

Apex XCT 150 製品ページ URL
https://canon.jp/business/solution/indtech/sigray/lineup/apex

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