毛髪の形態および元素の分布状態を把握することが可能です
毛髪の表面形態
毛髪表面には、キューティクルと呼ばれる鱗状の組織が存在します。しかし、染色・パーマ・紫外線・洗髪などによるダメージでキューティクルが開き、傷みが進行します。最終的にはキューティクルが剥がれ落ち、内部のコルテックスがむき出しになります。下の画像は、1本の毛髪の根元部分 (健康な髪) と、ブリーチ処理を施した毛先部分 (傷んだ髪) を比較したものです。健康な髪はキューティクルが閉じて規則正しく並んでいますが、傷んだ髪はキューティクルが失われ、毛髪の太さが肥大化している様子が確認できます。
クライオEPMAによる毛髪の元素分析
健康な毛髪の内部には、ジスルフィド結合 (S-S) と呼ばれる、毛髪の主成分であるケラチン同士を結び付ける強い結合が存在します。このS-S結合が弱まると、髪がパサついたり、切れ毛や枝毛の原因となるため、S (硫黄) の分布を捉えることは重要です。クライオEPMAによって毛髪断面を冷却しながら分析することで、常温では困難であったS分布の可視化に成功しました。健康な髪ではキューティクルにSが最も多く分布し、傷んだ髪ではコルテックスの外側にかけて分布が弱まり、外側ほどダメージが大きいことが明らかになりました。



