日産アークの半導体および電子デバイス分析の強み

日産アークでは、これまで半導体や電子デバイスの研究・開発・製造などの課題に広く貢献できるよう、
 ・300mmウエハを切断することなくそのまま三次元観察できるXRM (X線CT) の導入
 ・オリジナル技術を含めた薄膜の密着性・機械物性・熱物性測定技術の開発
 ・各種電子分光法によるバンドエネルギー測定技術の確立
 ・第一原理計算の活用
 ・広範なカスタマイズに対応可能な信頼性評価システムの開発
などを進めてきました。

ここでは、これまでに蓄積された半導体・電子デバイスの分析における強みを紹介します。

 
 
 
 
 
【目次】(クリックするとその項目へ移動できます)
 1.三次元非破壊観察
 2.薄膜のナノ物性評価
 3.電子分光によるバンドエネルギー評価
 4.計算科学の活用
 5.信頼性評価 (主にパワーエレクトロニクス)

 6.関連保有装置
 

1.三次元非破壊観察

当社では、さまざまな非破壊形態観察・計測ニーズに対応できるよう最新型のXRM (X線CT) を導入するとともに、放射光マルチスケールCT等の技術開発に注力しています。

 

〔ラボにおける三次元非破壊観察〕

米Sigray社製ApexXCT-150を2024年3月に国内で初導入しサービスを開始しました。
従来のX線CT装置で用いられている直交型とは異なる斜交型光学系を採用することで、
φ300mm×高さ25mmまでのサンプルを
最小0.5μmの分解能で観察することが可能です。
300mmウエハをそのまま非破壊で観察することが可能です。

 
分析事例:
斜交型マイクロX線CT顕微鏡 (XRM)
 
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〔放射光マルチスケールCTによる
  三次元非破壊観察〕

透過能に優れた単色高エネルギー放射光を用いることで、ラボCTに比べて1桁高い分解能の32nm/ピクセルでの三次元観察が可能です。同一の測定装置でマイクロCTとナノCTを相補的に用いることで、サブμm~nmレベルまでのマルチスケール非破壊形態観察が可能です。
本測定は、社外放射光施設を利用することから、申請や実験準備などに時間を要する場合もあります。お早目のご相談をお願いいたします。

 
分析事例:
放射光CTによるリチウムイオン二次電池の高分解能三次元観察
(事例は二次電池ですが、半導体や電子デバイスの観察にも活用可能です)
  
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2.薄膜のナノ物性評価

半導体のプロセス/デバイスシミュレーションにおいて必要となる薄膜の各種特性や物性について、独自設計の計測手法も加えることで高精度な評価・計測サービスを提供しています。

 

〔密着性評価〕

当社では、半導体基板上に成膜した各種薄膜の密着性について、4PB (4-point bending) 法、DCB (Double cantilever beam) 法という二つの定量的評価手法を提供しています。
試験後の破面をXPS等で分析することで、剥離界面の同定や密着力発現要因を調べることもできます。

 
分析事例:
4PB法による薄膜の密着性評価
Double cantilever beam (DCB) 法による薄膜の密着性評価
 
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〔機械物性評価〕

右図に示す球形ナノインデンテーション法では、最薄で試料厚さ20nmから弾性率測定が可能です。この手法では、弾性変形と塑性変形を分離して評価でき、薄膜の降伏接触応力を求めることができます。
試料の表面温度は、-150~150℃の範囲で制御することが可能です。

 
分析事例:
球形ナノインデンテーション法の高精度・温度制御測定
 
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〔内部応力評価〕

平行レーザー群を用いた独自の手法を開発し、サンプルを小型化することで、自重による影響なく、室温から1000℃の範囲で高精度な測定が可能です。
曲率測定結果から、非晶質材料や数nm程度の超薄膜の内部応力、室温から塑性変形開始温度までの内部応力と温度の傾きから薄膜の熱膨張係数を算出することができます。

 
分析事例:
平行レーザー群を用いた薄膜の内部応力測定法
 
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3.電子分光によるバンドエネルギー評価

半導体デバイス設計において、表面のバンドエネルギーを正確に評価することは効率や性能を向上させるうえで重要です。
表面や界面でのバンドエネルギーの不整合が、デバイスの劣化や故障の原因となることから、バンドエネルギーを評価することで信頼性の高いデバイス設計が可能になります。

 

〔バンドエネルギー評価〕

当社では、X線光電子分光分析装置 (XPS) として、アルバックファイ社製 多機能電子分光分析装置 VersaProbeⅢを導入し、多彩なオプションを搭載することで、さまざまな電子準位の測定を可能としています。

 

測定可能な項目
紫外線光電子分光 (UPS) 仕事関数、イオン化ポテンシャル (価電子帯) 測定
反射電子エネルギー損失分光 (REELS) バンドギャップ測定
低エネルギー逆光電子分光 (LEIPS) 電子親和力 (伝導帯) ~ LUMO (最低非占有分子軌道) の直接測定 (国内唯一)

分析事例:
UPS/LEIPSによるバンドギャップエネルギー解析
 
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4.計算科学の活用

第一原理計算により、半導体の基礎的な物性であるバンドギャップ、界面におけるバンドオフセット、さらには点欠陥の生成エネルギーなどを精度よく予測することが可能です。
当社では、上述の電子分光による電子準位の実測だけでなく、測定が困難な物性値については、計算科学を併用することで各種半導体材料の効率的な探索を支援いたします。
材料開発の初期段階で候補材料のスクリーニングを計算機上で仮想的に行うことで、開発期間の大幅な短縮が可能になります。

 

〔半導体の格子欠陥〕

分析事例:
半導体の格子欠陥・界面の性質を解明する第一原理計算
 
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5.信頼性評価 (主にパワーエレクトロニクス)

パワーサイクル試験は、パワーデバイスに大電流を周期的に加えることで、デバイスが受ける熱的・電気的ストレスに対する耐久性を評価できます。
当社では、自在にカスタマイズできる試験装置を備えることでお客様のご要望に応じた試験方法や試験条件でのパワーサイクル試験を実現することで、パワーデバイスの信頼性評価に貢献しています。

 

〔パワーサイクル試験〕

分析事例:
パワーサイクル試験装置を使ったパッケージの耐久性評価と故障解析
パワーサイクル試験による電気・熱ストレスを印加した半導体チップ信頼性評価
温度ストレス負荷のための冷却カーブを使ったTj測定によるパワーサイクル試験
パワーサイクル寿命比較によるSiCパワー半導体の封止法の評価
半導体デバイスのパワーサイクル試験と故障解析
 
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6.主な関連保有装置

上記で紹介した装置以外にも、半導体および電子デバイスの分析・解析に活用可能な装置を多数保有しています。代表的な装置を以下に示します。
紹介事例は半導体・電子デバイス以外のものとなっておりますが、半導体および電子デバイスへの活用に関してもお気軽にご相談ください。

装置紹介

〔Helios G4 PFIB CXe DualBeam〕

Thermo Fisher Scientific社製クライオプラズマFIB:

Xeプラズマを用いたFIB装置は、従来のGa-FIBで問題となっていたGaによる化合物層の生成がなく、イオン打ち込みによるダメージ層を低減したTEM薄片作製が可能です。また、熱に弱い材料を冷却しながら大面積3D-SEMを取得することもでき、半導体の三次元構造取得などに役立ちます。

 
 

〔GeminiSEM 560〕

ZEISS社製 電界放出型走査電子顕微鏡 FE-SEM:

極低加速電圧でも高い空間分解能を維持でき (0.8nm@1kV)、微細な配線構造を、無蒸着且つビームダメージなく、明瞭に観察することができます。また、多彩な検出器を搭載し、Inlens-SEM、BSE、BSD、STEMを目的に応じて使い分け、材料組成や結晶性に起因するコントラストを付けることで、金属接合界面の拡散の様子などを調べることも可能です。

 
関連Webページ)
新規導入装置極低加速電圧走査電子顕微鏡の紹介
 
 

〔Talos F200Z G2 TEM〕

Thermo Fisher Scientific社製透過電子顕微鏡 STEM:

高感度EDXを4基搭載し、原子分解能EDXを短時間で取得できます。また、TEM-PDF (原子対相関関数) 解析により、多層膜や界面など、nm~サブμm領域の非晶質構造を評価可能です。電子線トモグラフィーにより、微細な素子の三次元構造を調べることもできます。

 
関連Webページ)
高感度EDX、高傾斜3Dトモグラフィー、クライオホルダ搭載の高感度TEM分析
 
 

〔XGT-9000〕

堀場製作所社製X線分析顕微鏡 XRF:
X線分析顕微鏡では、透過X線像による非破壊観察と同時に、蛍光X線により元素分布情報を取得できます。また、大きな試料もそのまま分析できることから、製品形状のまま内部欠陥や異物を調査することが可能です。
 
関連Webページ)
新規導入装置 X線分析顕微鏡 (μ-XRF) の紹介
 
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日産アークは、材料分析・解析技術で
お客様と共に“半導体および電子デバイス”のイノベーションを実現します

 
 

2025年1月14日

  

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