エンジンオイルおよびトライボフィルムの総合解析


様々な分析手法を組み合わせることで、オイルの劣化、トライボフィルムの化学状態・構造を解析し、摩擦特性への影響を考察することができます。
 
【目次】
 1.劣化試験:NOxバブリング試験
 2.摩擦摩耗試験
 3.添加剤の分析と事例
 4.トライボフィルムの分析と事例
 5.最後に
 
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1.劣化試験:NOxバブリング試験

NOxバブリング試験は、ブローバイガスを模擬したガスをエンジンオイルに吹き込むことでエンジン内部の状態を模擬してオイルの劣化を加速する試験です。オイルの性能評価の一環として酸化安定性の評価が可能です。
くわしくは、
NOxバブリング試験によるエンジンオイルの劣化評価 (F164)
 ・NOxバブリング試験とは
 ・中和価とオイル中イオンの関係
 ・LC-MSによる添加剤量の評価

2.摩擦摩耗試験

摩擦摩耗試験により、摩擦係数の比較やその時間変化を評価します。
各オイルを用いたSRV試験結果

3.添加剤の分析と事例

潤滑油は、基油 (ベースオイル) に様々な機能 (酸化安定性、摩耗防止性など) をもたせる添加剤が入っています。これら添加剤の確認には、複数の分析法を組み合せて解析する必要があります。
 
表1 添加剤の分析手法とわかること
手法わかること
LC-MS添加剤、添加剤変質物分析
XAFS添加剤金属元素の化学結合状態
31P-NMR摩耗防止剤ZnDTPの分析、変質物解析
ICP添加剤の元素組成

添加剤の分析事例

潤滑油の添加剤分析 (F022)
 ・潤滑油添加剤の種類と機能
 ・潤滑油添加剤の分析・解析
  - 31P NMRを用いた極圧剤の分析
  - LC-MSを用いた消泡剤の分析
   
オイル添加剤とトライボ被膜の総合解析1 (F135A)
 ・摩擦特性変化をとらえる潤滑油分析
 ・LC-MS (液体クロマトグラフ-質量分析装置) による添加剤分析
 
オイル添加剤とトライボ被膜の総合解析2 (F135B)
 ・エンジンオイルの劣化と摩擦特性変化
 ・LC-MSによるオイル中の添加剤分析
 ・XAFS (X線吸収微細構造) によるMoDTCの変質分析

4.トライボフィルムの分析と事例

摺動面に形成されるエンジンオイルの添加剤に由来するトライボケミカル反応皮膜 (トライボフィルム)による摩擦低減機構をナノメートルスケールでの分析・解析により解明します。
 
表2 トライボフィルムの分析手法とわかること
手法わかること
XPS表面層の元素種、割合、化学結合状態
AES表面の元素分布、元素種、割合
TEM-EDX元素種、割合、断面の元素分布
ラマン化合物同定、化合物分布
AFM摺動表面の形態
ナノインデンテーショントライボフィルムの硬さ・弾性率
ナノスクラッチトライボフィルムの摩擦係数の深さ分布

トライボフィルムの分析事例
 
ナノメートルスケールでの摩擦低減機構の解明 (P068)
 ・はじめに:トライボフィルムの多層構造
 ・トライボフィルムの形成
 ・AFM表面形態観察
 ・ナノインデンテーション法による機械特性評価
 ・ナノスクラッチ法による摩擦特性評価
 
燃費向上につながる摩擦特性制御の総合解析 (F048B)
 ・トライボフィルムの超低摩擦化機構の解明
  - 原子間力顕微鏡 (AFM) による摺動表面形態観察
  - AFM位相イメージ法によるナノ構造観察
  - XPSによる摺動表面の化学状態
 ・エンジンオイル添加剤の改良と摺動面被膜の耐荷重・摩擦特性向上
 
AES、TEM-EDX、XPSによるエンジンオイルの劣化前後の摩擦特性、被膜解析 (F129)
 ・エンジンオイルの劣化と摩擦特性変化
 ・AESおよびTEM-EDXマッピングによる元素分布評価
 ・XPSによるトライボ被膜の化学状態評価
 
ラマン分光法とAFMによる摩擦低減メカニズムの解析 (F159)
 ・NOxバブリングによるオイル劣化促進と摩擦特性
 ・ラマン分光法による摺動表面の成分同定と分布
 ・AFMによる摺動表面形状とMoS2分布との相関

5.最後に

様々な分析手法を組み合わせることで、オイルの劣化、トライボフィルムの化学状態・構造を解析し、摩擦特性への影響を解明することができます。エンジンオイル、トライボフィルムなど摩擦摩耗に関する課題解決にご活用ください。
 
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